令和6年1月号 年頭所感

 新年おめでとうございます。
 ここ数年の年頭の挨拶はコロナの話から始まっていました。今でも,安心できる状態ではありませんが,昨年はコロナ禍も一つの転換期となりました。5月8日に3年以上にわたった新型コロナウイルス感染症が感染症法で5類に移行されると,圧縮された社会の反動でさまざまな大規模集会やイベントも開催され,旅行者も増えました。人々はコロナが終わったかのような気分で人生を謳歌しているようです。しかし,人流が盛んになるにつれて感染は拡大しています。本県では昨年夏に人口当たりの感染者数が全国ワースト2位にまで増加しました。それでも重症者が少ないせいか以前ほどのパニックにはならなかったようです。しかし,今季はインフルエンザも流行しており,また,コロナに隠れて目立ちませんが他の感染症も蔓延しているようです。感染症には常時警戒が必要です。
 本年は私たち医師会員にとって重要な診療報酬などのトリプル改定が行われます。財務省は厳しい姿勢を示しており厚労省はハードな交渉を迫られています。物価高騰対策と医療従事者の待遇改善には診療報酬のアップが欠かせません。財務省はコロナの補助金を盾に診療報酬の減額を主張しています。ニュースでは税は増収のはずですが,財務相の会見では増収分は使用済みだそうです。更に診療報酬は,限られた帳簿上のデータのみで,しかも現場の実情に関知しない人たちによって決定されます。この稿が出るころには改定率も決まっているとは思いますが,現時点では政権の不安定も重なり暗雲が漂っている雰囲気です。医療崩壊した地域に人は住めません。人口減少問題にも拍車をかけることになります。一旦崩壊した地域や医療を元に戻すことは不可能です。その際の責任はだれが負うのでしょうか。
 本年秋には全国学校保健・学校医大会を宮崎県が担当します。すでに昨年より準備委員会を立ち上げて対応しています。期日,場所の確保,シンポジウムの内容と出席者,特別講演の演者交渉,アトラクションの企画等々,担当理事と事務局は大忙しです。一昨年の岩手と昨年の兵庫を参考にして企画・準備中です。過去に比べて遜色のない大会に仕上げたいと考えております。関係される先生方,学校保健に関心のある先生方はぜひご参加をお願いいたします。
 その他にも,医師の働き方改革,マイナ保険証を始めとするさまざまな難問が山積しています。執行部は一丸となって取り組みますが,会員諸氏のご協力をよろしくお願いいたします。
 本年が皆様にとりまして幸多からんことを祈念いたします。

令和6年1月号