令和7年3月号 大阪・関西万博
今年は55年ぶり2回目の大阪万博です。「いのち輝く未来社会のデザイン」のテーマで4月13日から半年間開催されます。私事で恐縮ですが,1964年の東京オリンピックの年に大学入学し,1970年の大阪万博の年に卒業し医師になりました。前回の万博は大阪の山手「千里丘」の広大な場所で開催され,珍しさもあり開会前からテーマソングもヒットし,国を挙げての歓迎ムードの中で全国民の半分が押し寄せて大盛況でした。私も関西に所用があり,都合をつけて半日だけ行きました。当時は奇抜に思えた「太陽の塔」やアポロが持ち帰った「月の石」が話題でした。人気のあるパビリオンは混雑しており,時間もないので広い会場内の比較的空いた所を選んで廻り内容はほとんど覚えていませんが,万博の雰囲気には浸りました。
今回の万博は自見英子参議院議員が担当大臣として奮闘されていました。大阪湾の埋め立て地「夢洲」で開催されますが,批判も多く盛り上がりに欠けているようです。現在は各地に大規模のテーマパークがあり,似たような趣向では国民の関心が集まらないようです。収支や建築費高騰からパビリオン建設が遅れ,撤退もあるとの報道などで開催が危ぶまれていました。世界最大の木製大屋根リングは日本の技術力を示すとの話題になりました。しかし,後の検討が不充分であったようです。バブル以前の大量消費時代ならいざ知らず,巨費を投じたものをすぐに壊すのはいかにももったいない。当初予算を大幅に超過しそうですが,その超過分を真に国民のためになる医療費に当てたらと思うのは私だけでしょうか。担当者の説明では懸念された状況は払拭されて,計画どおりに開幕を迎える態勢となり,特筆すべきものとしてリングやパビリオンの他に南極大陸の昭和基地近くで採取された隕石「火星の石」があるそうです。
万博の歴史は,第1回が1851年にロンドンで,その後の1867年パリ万博には我が国からも徳川幕府,薩摩藩,鍋島藩が参加,日本政府としての最初の参加は1873年ウィーン万博です。国内では1970年大阪万博,1975年沖縄海洋博,1985年つくば科学万博,1990年花の万博,2005年愛知万博が開催されています。
今回の万博はすでに割安前売り券の発売も始まっているようですが,売れ行きは低調との報道です。混雑する交通や高騰した宿泊の予約が必要で,広い会場内での移動やパビリオンの長時間待機は相当な体力を要します。それでも機会があれば体調と相談しながら記念に参加したいと思っています。
令和7年3月号