令和7年12月号 気温と人体
先日の死体検案研修会で県警によれば気温が原因となる死亡として、真夏の熱中症と真冬のヒートショックによる例が多いそうです。ヒートショックとは急激な寒暖の差に体が同調できずに不調となることです。冬場に暖かい部屋から寒いトイレに入ったり、入浴時に寒い環境下で熱い風呂に浸かったりと急激な温度差により血圧の変動が起こり心血管障害や脳梗塞などが発生することです。統計によれば、年間の温度変化に関連した死亡者数は交通事故によるものを上回ります。
特に近年の夏の暑さは異常です。私が少年のころは30℃程度が最高気温であった記憶があります。TVによりますと本年7月初めでもすでに日本全国が30℃以上に達し、真夏には40℃と驚くような地域が多数ありました。7月に秋田県で全国学会があり参加しましたが、九州よりも暑く、東北の涼しいイメージが壊れてしまいました。今夏の平均気温は全国的に平年よりも2,3℃高かったそうです。7月初めには東京で熱中症搬送が1日で70数件ありました。8月には全国で1週間に5,000件超が救急搬送され、半数が高齢者で、しかも屋内で発症した例が多かったと報告されています。その後も頻繁に熱中症が報告されました。戸外での運動や活動は制限せざるを得ないのみならず、屋内でも油断はできません。暑さに耐え得る体に慣らすのも必要ですが、鍛えるにも限度があります。現代はエアコンのない生活は考えられませんし、上手に使用することで熱中症の発症が防げます。脱水との関連も強くいわれており、適度な水分補給は絶対に必要
です。ただし、アルコール飲料は例外です。若いころ、真夏ゴルフ昼食時のビールで、後半は酷い目にあったことがあります。
なぜ暑くなったのか? 専門家はさまざまな理由を挙げて、地球全体の気温が上昇する温暖化現象と説明しています。地球の歴史では温暖期と寒冷期が周期的に繰り返されてきたそうですが、現在の温暖化は多分に人為的なものとも指摘されています。極地や高山の氷河が以前に比べて大分消滅したそうです。このまま地球全域の氷が溶けてしまえば海水面が数十メートル上昇して消滅する国や地域が多数あり、我が国でも多くの県や大都市が水没すると予測されています。なお、寒冷期の戸外活動や登山での死亡は事故やヒートショックなどを除けば低体温によるものが多いようです。現在は極地に近い場所から赤道直下まで人が住むことは可能です。しかし、気温に対してある程度
の順応性はあっても、設備や衣類がなければ私たちのハビタブルゾーンは、非常に狭い範囲に限られるようです。皆様も気温の変化には充分なご注意を。
令和7年12月号