令和8年2月号 座右の銘

 年を経るとさまざまな場面で「座右の銘」を問われる機会が増えました。馬齢を重ねたのではなくしっかりした理念の元に生きてきたのであろうと勝手に解釈されているのでしょうか。残念ながら今までは当座の事柄に追いまくられているばかりで,突然座右の銘を問われても考えてもおらずに返答に窮したことが再々あります。しかも,その言葉を色紙に書けと言われて悪筆の私は立ち往生してしまいます。今後に備えて,あらためて自分の信条なり,座右の銘を考えてみました。なんとか立派な言葉がないものかと考えましたが,なかなか思い付きません。
 強いていえば「熟慮断行」でしょうか。それにしては失敗ばかりで反省しきりです。これはとても座右の銘とはいえません。笑い話で“ある入社試験で【座右の銘!】を聞かれて,緊張していた受験生は「左右の眼」と勘違いして「右1.2左1.0」,【違う信条だよ,信条!】「はい身長は170cm」と答えたそうです”。少年期にはイソップなどの寓話や学校の授業でさまざまな教訓を与えられました。いくつかは今でも覚えていますが,それらは自分の銘とはいえません。大局的な見地から俯瞰して標語なり銘を述べたいところですが,なかなか浮かびません。孔孟の教えを始めとして,先人には立派なものが数多くあります。恥ずかしながら若い時分から多くの忠告を受けてきましたの
で,それならたくさんありますが,これらも座右の銘とは言い難いようです。欧米にも数多くあり,それぞれに奥深さがあるようです。偉人や各界の方々は立場に相応しい言葉を残されています。少し調べれば無数にありました。そのどれもが,納得できる語・フレーズばかりです。しかし,いずれもその人が発するから「サマ」になりますが,同じ標語でも私が述べてはジョークにしかなりません。
 企業の社訓,学校の校訓,団体のスローガン,旧家では家訓もあります。日医,県医,郡市医にも綱領があります。大震災や大災害の後には「絆」「結」などが多く語られました。よく耳にする言葉として「愛」「和」「友情」「有言実行」などがあります。私たちの年代で教えられた「克己」「勤勉」「努力」などは今の働き方改革からすればパワハラにつながる恐れもあり,時代に合わないかもしれません。
 次に聞かれた際にはよどみなく応答したいものです。皆様の座右の銘はいかなるものでしょうか。

令和8年2月号