令和8年3月号 令和8年診療報酬改定に思う
最近の物価高,人件費高騰などにより医療機関(付属した介護施設を含めて)は公立私立を問わず多くが赤字経営で閉院する例も増えています。地域医療の崩壊につながるとして,日医を先頭にさまざまな場面で改善を訴えてきました。今まで長期にわたり「誤った解釈の適正化」のもとに圧縮され続けてきた診療報酬を「本当の意味での適正化」に戻す必要があります。高市首相は施政方針演説で医療機関の救済を述べられましたので,今回の診療報酬は大幅な増加が期待されていました。
昨年12月には医療機関の窮状を鑑みて高市首相の英断で,国の補正予算による賃上げ・物価上昇に対する支援事業(医療・介護等支援パッケージ)が実施されることとなりました。日医の要望に近く1兆円余となり一息をつくことが出来そうです。もっとも現時点では決定のみで実際の交付は後日になります。この支援パッケージは時宜を得たものであり大変ありがたいものです。ただ,病床1床あたりの補助が病院と有床診療所で大きな差があり、厚労省によれば,病院と有床診療所の収支データ分析の結果であるとの説明ですが,釈然としません。
その後,令和8年の診療報酬改定は本体3.09%のプラス改定となりました。全体としては2.22%のプラスで,全体のプラス改定は10数年ぶりであり,本体の3%以上の改定は何と30年来の珍事だそうです。一部では,現状からすれば10%以上は増やさないと経営が維持できないとの声もありました。それでもこれは日医が総力を挙げ医療関係者がこぞって協力した取り組みの結果であり,日医松本執行部の大きな功績です。国でも地域医療の逼迫した状態を理解していただいたものと思われます。欲を言えばキリがありませんが,長年にわたってのマイナス改定による結果を解消するには十分ではありません。さらに,今回の改定は物価高や人件費高騰に備え,本体は2026年度がプラス2.41%,2027年度がプラス3.77%と2段構えの改定にはなっているものの,2年間はこのまま変わらず現在の物価・人件費高騰の流れから推定すれば直に不足することは目に見えています。期中改定や,適時の補助対応が必要です。
地域医療は安心した生活には不可欠です。現体制を作り上げるのは長期間を要した結果であり,生半可ではできません。壊れてしまえば復帰は至難の業です。医療のない地域には人は住めません。人口維持のためにも現体制を維持のみではなく,さらに発展させる努力が官民ともに必要です。
令和8年3月号