令和8年4月号 交通インフラ
宮崎県は古くより中央から遠くアクセス不便な土地であったようです。古の日向は南北に長く海岸沿いは比較的平野が開けていても,一歩奥に踏み入ると九州山地の深く狭い渓谷が数多くあります。豊後,肥後とはそれぞれに険しい山地で遮られています。薩摩方面だけは狭い回廊でつながっており,交流はあったようです。往来が不便で中央からの為政が届き難かったのが幸いして,政局で敗れた落人集落伝説が各地に点在しています。記憶に誤りがなければ,漱石は明治になっても「坊っちゃん」に,うらなり先生の赴任先である延岡はサルと人とが半々に住んでいるような気がすると言わせています。
現在でも他地域の新幹線や高速道路整備などのニュースを聞くと,ますます取り残されたような気になります。広面積に少人口なので公共交通機関の整備は十分ではありません。過去には国策で全県下に鉄道やバス路線が張り巡らされていました。しかし,自家用車の普及などで利用者激減により,ほとんどが赤字路線となりました。鉄道は廃線が続き,バス路線も都市部を除いて縮小されました。一方,自動車は増えても道路整備が不十分で一部の地域では深刻な状態が続いています。高速道は開通しましたが,東九州道は片側1車線のところが多く十分に機能しているとはいえません。鉄道は日豊本線と日南線,吉都線がかろうじて運行されています。東京までの直行便はありません。県民の新幹線待望は強くても,現在の利用状況からすれば実現は困難を伴いそうです。先日,太平洋戦争時の不発弾爆発のあった宮崎空港は拡張・増便され,しかも市街地に近く,中央に向かうには最も便利です。それでも東京での数時間の会議のために1日を要しますし,台風や悪天候時にはしばしばダイヤが乱れ,時には欠航します。海路については,単調な海岸線の県中央部では大規模の良港を設けるのが難しく,外海の日向灘に面しており,台風などの影響で運航に制限があります。現在は宮崎港から関西航路のカーフェリーが就航しています。過去には諸方面への高速旅客船が何度か試みられ中止になりました。
九州医師会は各県の持ち廻り開催で1年間は同一県に通うことになります。九州各県までは鹿児島:鉄道2時間,陸路2時間。大分:鉄道3.5時間,陸路4時間。熊本:陸路3.5時間。福岡:空路1時間。佐賀:空路と電車で2.5時間。長崎:空路と電車で3時間。沖縄:空路2時間。ちなみに東京:空路2時間。大阪:空路1.5時間。皮肉なことに隣県大分,熊本が最も時間を要します。
宮崎県の将来発展には交通インフラの整備充実が欠かせません。関係諸機関による前向きのご検討を期待します。
令和8年4月号